---------------------------------------------------------------------------- 【  曲 名  】ソリチュード・ソノール/Solitude Sonore 【 作曲者名 】武満徹/Toru Takemitu 【 作詞者名 】なし 【データ作成者】窪田 洋(TBE00266) 【 データ形式 】MIDI Format 1 Timebase 120 【 対応音源 】SC88(2 port 使用) 【 圧縮形式 】LHA 【 出 版 社 】音楽之友社 ---------------------------------------------------------------------------- 武満徹さんのオーケストラ作品。以下、作曲者のノートから。 「この曲は、1958年11月2日に、NHKより芸術祭参加作品として放送初演さ れました。 その年の四月、黛敏郎氏の作品「涅槃」を聴いて、私は深い感動を受け、それを何か のかたちで表したいと考え、この曲を書くことを思いたちました。 私も鐘の響きをモチーフにして書こう、それも私の場合は一つの小さな鐘(ベル)を 響かせよう、この小品は、そうした私の内部に在る鐘の共鳴から生まれたのです。そ れで、はじめ表題を、ソリチュード・ソヌリイ(孤独の鐘)とするつもりでしたが、 作曲の進行中に、ソリチュード・ソノールと改めました。 それは、単に鐘の音響についての美的感動というものではなく、鐘を通して、樹々の 響き、石の響き、土の響き、世界のすべてのものがもっている響きに気づいたからで す。 鐘は通信の役目を果たします。人に時を知らせ、歓び伝え、悲しみを告げます。 私は、音楽もまた通信するものでなければいけないような気がします。自分の発音す るという行為から響きは生れ、そしてその時世界と私は一つになるのです。 曲は非常に制限された素材で書かれています。曲全体は、冒頭の二小節目に聴かれる 鐘の響きに傲った動機の要素から組み立てられていますが、それはセリエルなもので はありません。極度に遅いテンポと三連音符を多くすることで、いわゆる現実的アク セントをさけ、非現実な感じを強めたいとつとめました。西欧の時間の観念とは異な った時間の流れに、作品をおきたいと考えたからです。」 「弦楽のためのレクエイム」の2年後に作曲され、武満さんの初の本格的なオーケス トラ作品ですが、何故か演奏される機会が少ない(レコード化もされていない)のが 残念です。せめてDTMで聴いてやろうと思い、入力してみました。 初期の武満作品に共通の禁欲的な響きとスタティックなリズムで構成された音楽。デ ータを調整していて、「弦楽のためのレクイエム」を初めて聴いた時の感動を思い出 しました。最近の作品と比較すれば、技法面でぎこちない部分はあるのかもしれませ んが、吉田秀和さんに「静謐の音楽」と評された魅力を十分に持つ曲だと思います。 オーケストラ曲に初めて挑戦しましたが、結構大変なものですね。この曲の場合、音 符の数は少なく、繰り返しも多いので、データの入力は楽だったのですが、その後の 調整で悪戦苦闘。アッチをいじるとコッチがおかしくなる。コッチをいじるとアッチ がおかしくなる。この連続で、どうやっても武満トーンになってくれない。 おまけに、武満さん特有の表現の指示だらけで、どうGS音源のパラメータを操作す ればよいのか悩まされる。 Quietment, avec sonore cruel なんて、何をいじればい いのかな。 結局、適当なところで諦めるという得意の解決策で対応いたしましたので、忌憚のな いご批判、ご指摘をいただければ幸いです。 30段あるスコアをそのまま1チャネル1段として入力しちゃったので、申し訳あ りませんが、SC88専用/2ポート対応必須データとなってしまいました。 ポートの振り分けは次の通りです。 [A1] Tempo  [A1] Sysex [A1] Flute [A2] Bass Flute [A3] Small Clarinet [A4] Clarinet [A5] Bass Clarinet [A6] Bassoon [A7] Contra Bassoon [A8] Horn 1 [A9] Horn 2 [A11] Trumpet 1 [A12] Trumpet 2 [A13] Trombone 1 [A14] Trombone 2 [A15] Timbre [A16] Vibraphone [B1] Guiter 1 [B2] Guiter 2 [B3] Celesta R [B4] Celesta L [B5] Harp 1 [B6] Harp 2 [B7] Violin 1 [B8] Violin 2 [B9] Violin 3 [B11] Violin 4 [B12] Viola 1 [B13] Viola 2 [B14] Cello 1 [B15] Cello 2 [B16] Double Bass --------------------------------------------------------------------------- 木管、金管楽器の入力ミス(表記法の勘違い)を修正しました。 正しい音高にしたら、楽器間のバランスの悪さが目立つようになったという気がし たので、ボリューム&ベロシティをいじりまわしました。あと、テンポの調整と音 間違えの再チェックなど行いました。 週末、私用が立て込み、アップロードが遅れてしまい、ごめんなさい。また、シス オペ様には何度もお手間をとらせ、申し訳ありませんでした。                                  窪田 洋